これまで貨幣に対する普遍的な価値観が、どの様に生まれ、育まれたのか、ずっと不思議でした。
そんな疑問が、今回読んだ『21世紀の貨幣論』(フェリックス・マーティン著/遠藤真美訳、東洋経済新報社 2014)で、少し納得できた気がします。
本書では、一般的な「交換の手段」貨幣論や"物々交換による経済は本当にあったのか?"という疑問、古代ギリシャ時代から今日までの「マネー(貨幣に限らず、代用貨幣、各種債権、為替手形なども含む)」の歴史や概念の移り変わりをみながら話は進んでいきます。
特に、ポイントやマイルといったプライベートマネーも当たり前のように使っている今日の日常生活を踏まえると、「マネー」は①普遍的経済価値②会計システム③譲渡性からなる社会的信用技術であり、人類が様々な状況下でこの技術を使い、生活を営んでいることが、確かに実感できました。
また、その「マネー」を含めないマクロ経済学や、「マネー」しか見ないファイナンス理論の視点と課題、貨幣の経済価値と「マネー」への信用や流動性の関係についても書かれており、これらの問題を改革するためには、金融に携わる実務者の意識を変える必要以外に、実際に「マネー」を使用している自分達自身も、この半世紀程で定着した「マネー」の仕組みや倫理を変える意識を持つ必要があると提起しています。
何故なら、「マネー」は誰からも管理を受けない言語と同じ様な社会現象と捉えることもでき、その「マネー」の社会技術力を実際に使用している自分達は、その「マネー」の力をどのような社会目的で、どの様な領域、システム、どういった配分や調整をするべきなのか意識し、これからの経済を柔軟に考える時が来ているからです。
新な「マネー」として"ビットコイン"が実店舗でも使われるようになってきた近頃、改めて「マネー」という社会技術を通して、いわゆる"経済"を考えるには良い本だと思います!
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How dose MONEY change society of the future?
I learned from 《MONEY:The Unauthorised Biography》(by Felix Martin,Translated by Masami Endou,Japanese edition 2014) that money is negotiable social credit technology with universal economic value and accounting system. It has good or bad influence on our lives.
From now on, it will be important to make use of that social technology to the fields of fulfill social purposes.